西中VOICE

理科の言葉

言語理科の言葉添付画像小学校でも中学校でも、理科の教科書にはたくさんの用語が出てきます。「地層」・「消化」・「有機物」・・・・たくさんの理科用語を覚えなくてはいけません。そして、高校になれば、「メタ個体群」・「ホメオティック遺伝子」・・・用語の暗記はずっと先まで続くでしょう。理科の勉強とは用語を覚えること、と思っている人も少なくないと思います。

私は理科の教員ですから、授業でも説明でも理科用語を使い、それを生徒たちが理解し使えるようになることを求めます。理科の言葉つまり科学用語について、少し述べてみます。

科学用語という「ことば」は、その一つ一つの意味が明確に決まっています。科学用語以外の言葉、たとえば「机」という言葉がどこまでの範囲を指すのか少々あいまいであるのに比べ、「有機物」も「ホメオティック遺伝子」も意味はしっかり定められています。意味の範囲を明確に意識しなくても何となく使える「机」や「平和」と違い、科学用語はその言葉一つ一つに決められた意味を正確に知らないと、その言葉を知ったことになりません。言葉を大切にする習慣は、科学や歴史を学ぶうえでもとても重要です。

ところで、消化・有機物・メタ個体群・・・  科学用語は、誰かが新しいものを作ったからそれに名前をつけたということではありません。未知の世界を探り、どのように見れば「その世界が見えるか」、どのように理解したら「その世界がわかるか」を繰り返す営みが科学です。言葉は、今見えるようになったことへ、今理解できるようになったことへ与えられるものです。たとえば、まっくらな部屋の中で手に持った懐中電灯の光で見える範囲一つに、一つの言葉を与えているようなものです。光の方向や性質によって見える範囲は変わっていきます。そのたびに科学用語も変わり、また新たに作られます。つまり、科学用語を知るということは、その時の光の当て方や見え方を知る、ということになります。ものの名前を覚えることではありません。

これから皆さんは何年も何十年も学んでいきます。その中には科学を専門に学ぶ人もたくさんいるでしょう。少々難しい話だったかもしれませんが、理科用語についてこんな見方をすることも、理科の勉強の参考になるのではと思います。くれぐれも、理科を単純な用語暗記とは思わないで下さいね。

(教員  YH)





























































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